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路地裏で、ケンプトンは老人からケースをもぎ取った。
中身を確認する――ケンプトンの指示通り、高額で取引されるルーンが数十個。
合計で数千万ゴールドにはなるだろう。
それにしても――「あの連中が、素直に取引に応じるとはね……命拾いしたな、爺」
ケンプトンは暗示を強めた。この老人にはそうだ……自殺でもしてもらうとしよう。
さして冷酷とも思っていない。まして、他人を殺すのは初めてではなかった。「やれやれ、君は有能だが小細工が過ぎるな」
「はふぁああ!?」
ケンプトンは、突如悶絶したかと思うと意識を失った。
老人は、己の顔の皮を剥いだ。
その下から現れたのは、アイシャの黒髪と青い瞳。「さて、次はファイルを狙ったやつか――」
倉庫に急ごうとしたアイシャであるが、ふと黒髪のエージェントは立ち止まった。
気配がする――倉庫より、得体の知れない何かの気配が。
アイシャは目を見張った。
倉庫に何かがいる。
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