技術発信強化から1年。「ゲームのバックエンドといえばコロプラ」を目指すサーバーサイドエンジニアの取り組み
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技術基盤本部 第3バックエンドエンジニア部 部長
齋藤kevin雄輔
幼少期をアメリカで過ごし、大学・大学院生の頃にゲーム会社のアルバイトを3年半経験。2016年に株式会社コロプラに新卒入社し、サーバーサイドエンジニアとして『白猫プロジェクト』『ユージェネライブ』などに携わり、現在は複数の新規プロジェクトを担当。
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技術基盤本部 第3バックエンドエンジニア部 マネージャー補佐
薮 智仁
2019年に株式会社コロプラに新卒入社。複数のゲームタイトルの新規開発および運用に携わる。社内勉強会の主催や社内基盤ライブラリの開発支援なども行っている。
コロプラのエンジニアが所属している技術基盤本部では、2022年からセミナー登壇、勉強会主催、ブログやSNS発信などを通じて、対外的に技術情報の発信を強化してきました。今回はその背景や具体的な取り組み、開始からの効果などを中心メンバーにインタビューしました!
技術発信を開始した目的や背景について教えてください
ケビン きっかけは「採用強化」「認知拡大」を図りたいと思ったことです。というのも、ゲーム会社のサーバーサイドエンジニアの仕事があまり知られていないという現状があり、他業界・他職種と比べ、この職種を目指す人がかなり少ないんです。そのため、まずはコロプラのバックエンドエンジニアを目指す母集団をつくりたいと思って、技術発信を始めました。加えて、多くの人に「ゲームのバックエンドといえばコロプラ」「この技術といえばコロプラ」と認知してもらうためのブランディングも行ってきました。今でこそブログ執筆やイベント登壇などの協力者は増えましたが、発足当時は3人くらいで、運用は自分1人という時期もありました(笑)。限られた時間の中で、通常業務に加えてこのような技術発信を行うのは、かなり大変なことだと実感しています。
藪 初めてこの技術発信強化のプロジェクトについて聞いたとき、すごくいい取り組みだなと感じました。学生時代、就活中にインターン先の企業から「他にどんな会社を受けているの?」と聞かれたときにコロプラのことを話したら、業務内容や企業文化を含めてどんな会社なのかあまりイメージが沸かないと言われたことがありました。当時は技術的な情報発信が少なかったこともあり、そういうイメージを持たれていたのかなと思うので、情報発信を強化していくのは、いちエンジニア目線から見てもいいことだなと思っています。
ケビン 外から見たときに、「どんな技術を使っている会社なのか」「どんなエンジニアが関わっているのか」が全く見えないブラックボックス状態よりは、技術や情報をオープンにしている会社の方がエンジニアにとって有益な情報になると思います。自信を持って情報を出していることは、会社選びにおいても指標のひとつになると個人的にも感じますね。
藪 会社選びのとき、もともと気になっていた会社だったらいいかもしれないけど、全然知らなかったり名前だけ聞いたことあるような会社だと、興味を惹く情報がないと自分に合うかどうか判断もつかず候補に挙がりづらいですよね。
ケビン そうですね。そういった情報がないと、結局はその会社の製品やコンテンツベースの判断になってしまうからね。それ以外でも面白いことやってるな、こういう会社で働いてみたいなと思ってもらえるような技術やノウハウが、外から見れる状態になっていることが大事ですね。コロプラでは勉強会のアーカイブ動画やブログ記事として蓄積しているので、例えば登壇イベントや採用面接で時間があまりないときには「過去にこんな発表もしています」と蓄積された情報を伝えて、その後に繋げることができる状態になってきたのは大きいと思います。
現在取り組んでいる外部への技術発信はどのようなものがありますか?
ケビン ブログ、自社主催のセミナー(connpass)、外部勉強会、カンファレンス登壇、SNSなどです。ブログは、エンジニアから自分が書けそうなテーマや企画を出してもらったり、逆にこちらから「こんな記事を書いてもらえませんか?」と依頼することもあります。
セミナーは、2~3ヵ月に1回の開催を目指して、そのタイミングでトレンドになっている話題を盛り込みながら企画しています。ゲーム業界は開発のスピードも速いですし、新しい技術もどんどん出てきますから、3ヵ月前からじっくり企画するよりも、時流を捉えて素早く企画することがほとんどです。
藪 企画やテーマを決めるときは、その技術や施策がコロプラでは当たり前にやっていることだとしても、先入観を持ちすぎずに、どんなに些細なことでも発信していくことが大切だと思っています。例えば、社内サービス立ち上げのようなコロプラ以外では再現性の低い話だったとしても、ブログにどんどん書く。その取り組みに対する僕らの意図が伝われば、外部の方にとって参考になることもあると思うんです。
ケビン そうですね。他社のサービス活用事例をメインテーマにしたセミナーを実施した際に、そのサービスの提供会社がセミナーを見ていて、社内で共有されていたと聞いたときは嬉しかったですね。これはブログやSNSでも同じことが言えますが、我々が発信したものに対して「参考になった」などの意見をいただけるのは、広範囲にコロプラの技術力について知ってもらえるきっかけになったと実感できます。
藪 connpassの動画配信も、アーカイブではなくリアルタイムで多くの人が視聴してくれて、反応をもらっていますよね。
ケビン セミナーや勉強会でいただくリアクションはとても大きいですね。ただ、どれか一つのチャネルではなく、様々な発信を組み合わせてきたことによって得られた効果だと思っています。
当初の目的以外でも、外部発信から得られた効果はありますか?
ケビン 外部発信を通して結果的に良くなったこととして、社内でのコミュニケーションが活性化しました。もともと行っていた社内勉強会・共有会をコロナ禍になってから見合わせていたこともあって、プロジェクトを跨いだコミュニケーションが取りづらい状況でした。
外部発信をするためには内部のノウハウもためる必要があるため、社内勉強会を再開したところ、コミュニケーションが円滑になって社内外関わらず「発信する」という文化がより浸透してきています。
藪 いくつか企画した社内勉強会で、会の後に「このプロジェクトっていまどうなっているの?」「実はこんな困りごとがあって......」というような、"ついで話"が垣間見えるようになりました。こうしたカジュアルに聞ける場ができたことのメリットはとても大きくて、例えばこれまで緊急度が高くないとわざわざ情報収集したり質問しなかったことも、ついでに話すことで「自分だけが困っていることじゃなかったんだ」と気付けて事前に解決のための行動に移せたようなこともあります。外部発信強化に動き出した当時は意識はしていなかったと思いますが、副次的に良くなっていったものだと思います。
ケビン それに、コミュニケーションの幅が広がったことで、外部発信もスムーズに進行できるようになってきましたね。基本的に普段は自分が担当するプロジェクトに向き合っているわけですが、外に発信するときは「コロプラの取り組み」としてまとめる必要があるので、他のプロジェクトではどうなっているかヒアリングしなければなりません。社内で相談しやすい環境ができたのはよかったと思っています。
藪 あとは「書く」「話す」ということに慣れることができると思います。習慣的にドキュメント化をしていても、「発信」となると違ったスキルが必要です。これまでやってこなかったことに目を向けると新鮮で学びがありますし、言語化する機会が増えたことで改めて理解が深まったり視野が広がるきっかけにもなっていますよね。
ケビン たしかにね。普段は無意識に扱っているものでも、資料を作ったり、ブログを執筆するときは、技術的に合ってるのかを改めて言語化して正しく裏付けしなければいけないからね。自分たちのやってきたことや使っている技術をもう一段深掘りして見つめ直して、他プロジェクトにもヒアリングして情報を整理することで、改めて自分たちのつくっているものや技術への理解がさらに深まる効果もあったと感じています。
今後目指したいと思っているところ、新たな取り組みの仕掛かけはありますか?
藪 外部向け勉強会のオフライン実施とかですかね?
ケビン そうだね、やりたいよね。
藪 今はオンラインで行っているものを、オフラインで実施したら発表後に雑談的な立ち話の時間ができて、もっと展開されていくんじゃないかと感じていて。参加企業やエンジニアさんとのカジュアルな会話から、新しいものが生まれるきっかけになるのではないかと思うんです。会社間でもっと交流して情報交換できたら面白いなぁと。
ケビン 社内勉強会で生まれたコミュニケーションみたいなことだよね。コロナ禍も落ち着いてきているので、企画できたらいいなと思います。あとは、これまで社内外に向けてサーバーサイドエンジニアの部門がいろいろ動いてきた知見をもとに、他の部とも連携・協力してより一層コロプラの情報発信を強化していきたいと思っています。特に、外部発信を通して社内コミュニケーションが活性化した副次的効果は一番実感できていることなので、この文化をもっと浸透させたいです。
外に向けての情報発信ももちろん大事ですが、それ以上に社内のクリエイターがコロプラで成長でき、コミュニケーションが取りやすい環境だと実感してもらえるような文化を引き続き醸成していければと思っています。
藪 もちろん、ブログや勉強会などを通じて継続的に外部発信も続けていきます。ネタ自体は結構ありますよね。
ケビン まだまだあるけど......書くのに追いついていないのが現状です(笑)。外部発信には明確な正解がなく、苦戦していると他社からも聞くことが多いですが、大事なのは、先ほどもありましたが「当たり前のことに価値がある」と考え、どんなに些細なネタでも見逃さないことだと思います。そして「継続する」というのがいま分かっている答えだと思っています。発信を途切れさせることなく、多くの人たちに知ってもらえる機会を提供し続けることを大切にしたいです。また今後は他社主催のセミナーなどからも声がかかるような存在になりたいなと思っています。
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