『白猫GOLF』開発メンバー座談会
和やかに競うリアルなゴルフ体験を届ける、開発サイドのこだわりとは?
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『白猫GOLF』ディレクター
能勢 直樹
2016年コロプラに入社。プランナーとして『ドラゴンプロジェクト』に携わった後、ディレクターとして『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』の運用に携わる。2021年1月よりディレクターとして『白猫GOLF』に参加。開発の初期段階からリリースまでプロジェクトをまとめてきた。
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『白猫GOLF』クライアントエンジニア
宮田 貴広
2014年コロプラに入社。クライアントエンジニアとして『白猫テニス』、『PaniPani -パラレルニクスパンドラナイト-』などの開発に携わり、『ディズニー ツムツムランド』の運用を経て『ドラゴンクエストウォーク』などの開発に参加。2021年5月に『白猫GOLF』にジョイン。
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『白猫GOLF』2D・UIデザイナー
秋本 宏一
2018年コロプラに入社。2D・UIデザイナーとして『白猫テニス』、『プロ野球バーサス』、『ディズニー ツムツムランド』などの運用に携わる。新規プロジェクトの開発を経て、2022年1月より『白猫GOLF』にジョインし、UIデザイナーチームのリーダー的役割を務めた。
2022年10月末、コロプラ初の世界同時配信として『白猫GOLF』がリリース!
スマホならではの直感的でありながら緻密なコントロールが求められる操作性をはじめ、アニメーションをふんだんに使った魅力的なキャラクターや、思わず欲しくなるクラブのデザインなど、そこには様々なこだわりが詰まっているはず。
開発メンバーの3人に『白猫GOLF』に秘められた"こだわり"を語り合っていただきました!
まずは『白猫GOLF』のプロジェクトがスタートしてから、それぞれどのような役割で携わってきたかを教えてください。
能勢 私は開発の初期段階でアサインされ、開発を進めるためのチーム作りからリリースまで、プロジェクト全体をまとめていく役割を担いました。
宮田 私は能勢さんが入ってしばらくしてジョインしたんですが、そのときはインゲーム(※ゴルフのプレイシーン)がある程度できている状態だったので、エンジニアとしてさまざまな部分を詰めていき、リリースに向けて完成させていくまでを担当しました。エンジニアのメンバーを増員してチームをまとめていく役割も担っています。
秋本 自分はこれからリリースに向けてブラッシュアップしていくというタイミングでジョインしました。UIデザイナーのチーム作りをして、チームを強化するように努めましたね。
「白猫」というコロプラの看板IPを背負ったタイトルですが、どんなゴルフゲームにしたいと考えましたか?
能勢 リアルなゴルフ体験が詰まったゴルフゲームにしたいという思いがありましたね。ゴルフゲームというと有名なタイトルがたくさんありますけど、コロプラがやるからにはスマホならではの操作体験を提供したいというのがあって、「スマホだったらどんなゴルフゲームができるだろう?」というところから考えていった感じです。タッチパネルの操作ならではのゴルフゲームがあるはずなので、それをどうリアルなゴルフ体験にするかというところで試行錯誤を重ねていきましたね。
秋本 「白猫」のIPが付くタイトルではあるんですが、"リアル"を意識したこともあって、あまりファンタジー要素は入れないようにしています。
リアルさを表現するために、どんなことにこだわりましたか?
宮田 ゴルフの緊張感がリアルに伝わるような操作感にはこだわりましたね。ちょっと操作がブレるだけで、ボールが曲がって違う方向に行ってしまうようなところもリアルなゴルフに近づけた感じです。
秋本 クラブで打ったときの音にもメッチャこだわってますよね。ブランドのシリーズごとに音が違ったりして。
宮田 試行錯誤を重ねる中で、「クラブの種類や材質によって音って全部違うよね」と話していて、打つ場所によっても違うし、ダフったときの音も違うという意見があったんです。だったら音もリアルに近づけようって。
能勢 クラブの話でいうと、ゴルフって新しいクラブを手に入れる楽しみがあるじゃないですか。当初は今みたいにクラブがブランド化されていなくて、いろんなクラブがバラバラに存在していたんです。それだと「新しいクラブを獲得したときのうれしさが弱いね」という話になり、クラブの価値を上げるためにリリース間近になってブランド化することになったんです。
宮田 やっぱりクラブの差別化がないと、欲しい!となる訴求力が弱いですよね。実際のゴルフでもいろんなメーカーのブランドがあって、このメーカーのクラブは飛距離が出るとか材質が違うということで買いたくなる。クラブへの愛着と訴求力を増すためにブランド化することになったんですよ。
秋本 それから急遽、ブランド化したクラブに作り直すことになって、編成画面やショップの画面も全部作り直したんですよね。クラブは7種類あるんですけど、ブランドごとにイメージがあるので、それを崩さないように背景のアニメーションもすごく考えて、ブランドをリッチに表現することにはかなりこだわりました。
宮田 クラブの編成画面がごっそり変わりますからね。クラブの飛距離や回転数などの情報が多くて、それを全て載せるにはスペースが必要なわけだけど、そうすると今度はボタンが小さくなりすぎて押しにくい......となったりね(苦笑)。ああでもないこうでもないと繰り返して、一週間置きくらいに編成画面が変わってたよね。
秋本 いろいろ変えないといけないことがあって大変ではあったんですけど、ユーザーさまに「面白い体験が届けられそう」という確信みたいなものがあって、それを信じて作ろう!という雰囲気が生まれ、チームの団結力がすごく高まったんですよ。メンバーのみんなが前向きにやってくれたので、すごく良かったと思ってます。
能勢 時間を気にしながら何回も作り直すことは、普通は誰しも嫌がるものだと思うんです。プロジェクトを管理する側からすると、期間的にも予算的にも「早く出してほしい」となりがちですし、エンジニアからすると、ころころ仕様を変えずに最初にビシッと決めてほしいものですよね。
でも、いったん作ってみて、それを触って改善すべきことがわかれば作り直すということを、みんなが許容してくれるムードがコロプラにはあるんですよね。たしかに面倒なことではあるんだけど、ユーザーさまに喜んでもらえるものづくりのためにみんなで立ち向かっていく気合いを持った会社だと思いますね。
『白猫GOLF』はコロプラ初の世界同時配信でリリースされましたが、世界に向けて発信するにおいて、大変だったことやこだわったことはありますか?
宮田 エンジニア目線でいうと、世界で同時に遊べる機能は、5カ国語のフォントを入れるためにアプリの容量がかなり増えてしまうという問題があったくらいで、技術的にはそんなに大変ではなかったです。
それとは別の部分で、世界各国の法律を遵守したり、GDPR(※EUにおける個人情報保護の規則)に対応したりするのが大変でしたね。法律的に大丈夫かを法務と相談して、問題がある場合は国によって画面の出し方を変えたり、注意喚起を出す必要がありました。他に知財の問題もあって、たとえば日本ではセーフでもアメリカでは特許に引っかかってアウトという場合もあるわけです。
秋本 日本ではOKでも別の国ではNGという話だと、スタンプのデザインは注意するようにしてましたね。
能勢 国によって受け取られ方が違いますもんね。たとえば親指を立てる「いいね!」のマークにしても、国によってはグレーだったりするんですよ。それで全世界どこでも使えるマークを調査したりして。
宮田 たしかにスタンプを考えるとき、全世界で共通する「テンションが上がる表現」ってなんだろう?って考えたりしましたよね。
『白猫GOLF』は、まさしくスタンプによるコミュニケーションが魅力になっていますね。
能勢 日本語が入ったスタンプも、ちゃんと翻訳がかかって、どの国の人と対戦してもコミュニケーションがとれる仕組みになっているんですよ。
全世界同時配信ならではのコミュニティ形成については、いろいろ挑戦しました。今回、弊社で初めてDiscordを使ったんですが、そのために海外サーバーを立ち上げたので、いろんな国の人たちがDiscordを通して会話が楽しめるようになっています。
秋本 コミュニケーションツールとしてはボイスチャットもありますよね。
宮田 プレイヤーが互いに通話ボタンをオンにしておくと、試合中に電話みたいに会話することができるんです。ただ、いきなり見知らぬ人と通話するとなるとドキドキしてしまいますよね(笑)。
そのほかに新しいゴルフ体験を届けるために意識したことはありますか?
秋本 キャラクターですね。めちゃくちゃカワイイ、カッコイイじゃないですか!
あの等身のキャラでリアルなゴルフゲームを遊べることは、けっこう推しです。キャラを大事に見せたいと考えて、UIの部分でも情報をなるべくキャラの周囲に置かないようにしたり、上に載せないようにしたり気をつかいましたね。
宮田 キャラごとにグローブやシューズも違いますもんね。そうしたデザイン面でもいろんなこだわりが入っていると思います。
能勢 意識したこととしては、ある程度やり込んでいくと、「このキャラとこのクラブセットを組み合わせると、このコースでは有効だ」ということが見えてくるゲームになっていると思います。そこにゲームの深みがあるんじゃないかと思いますね。
宮田 スポーツとして平和的であることも意識したところですよね。
『白猫GOLF』はPvPの対戦ゲームなわけだけど、スタンプの効果もあって平和的にプレイできると思います。敵をぶっ倒す!みたいな感じじゃなくて、賞賛しあったり拍手したりね。そうするとお互いに悪い気はしないですよね(笑)。
秋本 紳士のスポーツですよね。
能勢 そこは一番意識したところでしたね。勝っても負けてもお互いに讃え合う紳士のゴルフゲームにしたかったんです。
たしかに最初は対戦で緊張しましたけど、思いのほか和やかなムードなので、安心してプレイが楽しめました。スタンプやキャラの雰囲気によってギスギスした感じにならないのが、『白猫GOLF』の特徴であり良さですよね。
能勢 「ゴルフはコミュニケーションスポーツだ」と話していたこともあって、どんどんコミュニケーションを促していこうということで、相手のプレイに対してリアクションのウインドウが表示されるようにしているんです。対戦ゲームではありますが、相手を褒め讃え合うような対戦ゲームでありたかったんですね。
宮田 たしかにそうなんだよね。賞金付きのプロの大会では緊張した雰囲気になるけれども、我々が普段プレイするゴルフは友人や家族、会社の上司や同僚とやるわけで、みんなキャッキャいいながら楽しんでるわけだからね。それもまたリアルなゴルフですよね。
能勢 「リアルなゴルフゲームにしたかった」という話をしましたけど、それは操作感だけのことではなく、コミュニケーションスポーツとしてのリアルなゴルフなんですよね。一般のプレイヤーってそれほど勝負感もなく、おしゃべりしながらボールを打って遊んでいる感じなので、それに近しい感覚を入れようと思いました。ガチガチの対戦ゴルフゲームとは、その辺が一線を画していると思います。
フリックして的に当てるという操作は、簡単そうに見えてなかなか思い通りにいかないものですよね。だけど、そこに上手くいったときの気持ちよさがあると感じました。これもリアルなゴルフの感覚に近いのかなと。
能勢 やっぱり直感的な操作でなければいけないと思うんです。直感的に誰でもできるんだけど、一定の難しさがあったほうが上手くいったときにうれしいものですよね。
緊張すると変な方向にボールが飛んでいっちゃう、という実際のゴルフの感覚を再現するために、的がどれくらいの早さで動くか、的がズレるとどれくらい軌道が変わるかといった調整は、開発期間の中でも時間を費やした部分です。
宮田 上手いこと言ってた人もいましたよね。高速道路に合流するのが苦手な人もいるって(笑)。
能勢 動いている的に当てにいくタイミングが苦手な人もいるでしょうね。たしかに高速道路の合流みたいなものかもしれない。会社全体や関係者でテストプレイをしたのですが、難しいと言う人もいれば簡単だという人もいて、そうしたデータと照らし合わせながら調整していった感じでしたね。
2022年10月26日にリリースされて現在は運用に入っていますが、ユーザーさまの反響を含めて手ごたえはいかがですか?
能勢 ユーザーさまが想定以上に紳士的だと思いましたね。こちらの狙いどおりユーザーさま同士で楽しくコミュニケーションを取りながらプレイしてくれているので、うれしく思います。そこを評価してくれるユーザーさまも多くて、「こんな和気あいあいとした対戦ゲームは見たことがない」とコメントしてくれたのが印象的でしたね。
秋本 身近な話になってしまうんですけど、うちの奥さんはほとんどゲームをやらない人なんですね。でも、『白猫GOLF』だけはずっとやっていて、今はランクがプラチナで、キャッシュトーナメントにも熱心に挑戦するほどやり込んでいるんですよ。「どんなところが面白いの?」と聞いたところ、「操作がシンプル」ということと「キャラがかわいい」と話してました。普段ゴルフもゲームもやらない人が、ちゃんと『白猫GOLF』を楽しめているというのを間近で見ることができて、やった甲斐があったなと思います。
今後も『白猫GOLF』の運用は続いていくわけですが、どんな人と一緒に仕事をしていきたいと思いますか?
秋本 コロプラが好きな人に入ってきてほしいですね(笑)。実は僕自身が『白猫プロジェクト』がずっと好きで、採用ページのインタビュー記事を読み込んで入社したので、同じようにコロプラファンの人が来てくれると話しやすいですし、そういう人はモチベーションを高く持って仕事をしてくれるんじゃないかと思ってます!
宮田 コロプラは年齢や経験に関係なくチャレンジできる会社なので、自分から手を挙げて挑戦したり、とことん突き詰めてゲームを作ったり、あまり他社が手を出さないようなジャンルを手掛けたりすることができて、エンジニアとして挑戦も成長もできると思います。それに向かって戦えるハートを持った人がいいかなって思います。
やっぱりハートが大事(笑)。
能勢 私も諦めないハートはすごく大事だと思います。ゲーム作りは大変な作業ではあるんですけど、長年開発に携わってきた人ほど、「もっとこだわりたかった」という思いが強い人が多い気がします。だけど一般的なゲーム開発では、そんなに長い時間をかけて作らせてもらえないものですよね。コロプラは"こだわって作る"というスタンスの会社なので、そこはある程度認めてもらえると思います。同時にそれは大変なことでもあるので、しっかり立ち向かっていけるハートが大事だと思いますね。
今後も『白猫GOLF』の挑戦が楽しみですね。本日はありがとうございました!
※ 本インタビューは撮影時のみマスクを外す等、感染症対策に配慮したうえで実施しました。