就活中のデザイナー必見!
ポートフォリオ作りにおける
6つのポイントとコロプラ採用担当の
評価項目!
ポートフォリオは、デザイナーを目指す皆さんにとって、自分自身の「今」「これまで」「これから」のすべてを作品のみで表現する分身のような役割を担っています。
その分身は就職活動において、自身をアピールする力強い宣伝担当になってくれますし、面談や面接時には、それを通して会話のきっかけが生まれたり、作品の説明をする際の自信にもつながるサポート役にもなります。
ただ、より頼もしい分身を作るには「この人に会ってみたい」と採用担当者の興味を引くようなポイントをいくつか押さえる必要があります。
今回はそれらのポイントに、採用担当者が必ずチェックする評価項目などを加えたポートフォリオの作り方をご紹介しますので、ご参考にしていただければと思います。
point1:自分のこれまでの作品を振り返る
ポートフォリオを作るには、まず「自分自身がどういう人間なのか」を理解する必要があります。これまで何を学び、どんなものをアウトプットしてきたのか。どうしてものづくりに興味を持ったのか。ものを作る世界で生きて行こうという気持ちはどこから生まれたのか。そういった想いまで伝えられるのがポートフォリオです。
しっかりと自分のことを伝えていくためにも、ただ単に作品を並べるのではなく、ものづくりの経験の長さや濃さ、何が得意でどんな作品を描いてきたのか、時間の変化とともに「変わってきた自分」「変わらない自分」などを振り返っておきましょう。
自分を客観視することで、作品を通じて伝えたいことが明確になり、自身のアピールポイントを見つけるヒントとなります。
「新しいものを作り出す」世界では、これまでの経験はとても大きな力を発揮します。
一つの作品を作るためにはテーマがあり、そのテーマを表現するために様々なことを考え、技術を学ぶ努力をしてきたはずです。そんな地道な積み重ねがあるからこそ、表現できる世界を魅せてくれるポートフォリオには、採用担当者としても心を動かされます。
point2:自分がアピールしたいことや、何をしたいかをリストアップする
自分を振り返ったところで、自身の特徴が見えてきたと思います。
一つのことを真っ直ぐ続けてきた人。多くのことに興味を持ち、たくさんの作品を作ってきた人。作品に取り組んだ時間と集中力は誰にも負けないという人。
これまでの経験に正解はありません。相手に知ってほしい自分をリストアップしていく中で「一番伝えたい自分」を決めましょう。
そして、もう一つ大切なのは「これからの自分」です。
社会へ出るにあたって、何をしてきたかも大事ですが、何をしたいかということも、
とても重要です。
技術や流行がどんどん変わっていく今。絵画からデジタルアート、紙面広告からWeb広告など、表現の仕方や場も変化していきます。多くの人に求められているイラストと、自分好みのイラストではテイストが異なっていることもあるかもしれません。
ここで気をつけなければいけないのは、自分のテイストを持つことがいけないのではなく、「自分と、届ける相手が求めているものは異なっている可能性がある」ことをしっかりと理解することです。自分の嗜好は、世の中全体を見渡した時にどこと共通しているのかを広い視野で捉えたうえで、自分が作ったものをどんな世界にアウトプットしていきたいかを考え、それを伝えてくれるポートフォリオを生み出す準備をしましょう。
もし、これから力を発揮したいと思っている世界が、自分にとって未知な場所だとしても、これまでの作品と、その世界の作品とがつながっていることを一目でわかってもらうために、希望する分野に向けて新しい作品を入れてみるのも良いでしょう。
全力で頑張ってきた世界とは異なる分野なので、自分の思うようにいかないかもしれないですが、それは当たり前です。これから先、いかにその世界で頑張っていきたいかをアピールできるかも大切なのです。自分の得意なことだけでなく柔軟性が表現できることもアートであり、デザインであるという視点で採用担当者も見ています。
point3:リストを並べ替えてストーリーを作る
伝えたいことがリストアップできたら、ようやくポートフォリオの設計に入ります。
■ 準備
「付箋」を大量に用意してください。横長よりも正方形のものの方がたくさん書けるのでオススメですが、同じことができれば方法はなんでも大丈夫です。
■ ブレスト
その付箋に「一番伝えたい自分」を書くところから、分身作りは始まります。
まずは、たくさんの付箋が貼れそうな壁や机の一番上に、それを貼りましょう。
その下に「相手に知ってほしい自分」を付箋1枚に一つずつ記入して適当に貼っていきます。あとで順番を入れ替えるので、これは関係ないからと安易に判断せず、自分のことをすべて伝える気持ちで思いつく限り書き出しましょう。
「一番注力したのは油絵」「3Dアートが得意」「多くの情報をまとめられる」「色彩感覚がイケてる」「使いやすいUIを思いつける」「模写には自信がある」「流行のデザインを学んでいる」「リアリティのある背景が描ける」「絵を描く以外には歴史が好き」「書いた量は誰にも負けない」など、伝えたいことがあればある程、良い分身が作れます。
■ 整理
さて、適当に貼っていった付箋ですが、ここからはどんな順番で伝えていくかを考えましょう。それが相手に伝わるストーリーにもなります。
ポートフォリオで最初に伝えたいことは、やはり「一番伝えたい自分」だと思います。
それなら、それをメインとなる表紙に持ってくるように意識しましょう。
人気の企業には何百冊というポートフォリオが送られてくるはずです。その中から自分の分身に興味を持ってもらうには、コンビニに置いてある雑誌と同じように表紙が魅力的な方が確率は上がります。もし、表紙のデザインを変えられなかったとしたら、表紙の次のページに持ってきても良いでしょう。
メインが決まったら、次はどういう流れで自分自身を知ってもらいたいかを想像しながら「相手に知ってほしい自分」の順番を入れ替えてみてください。
整理していくうちに「同じページ内で一緒に表現できるかもしれない」と思えたり、逆に「これは1ページではなく見開きや複数ページにわたって伝えよう」と思うものも出てくると思います。
ポートフォリオをチェックする人間は、ページ構成や全体の流れ、レイアウトや文字の読みやすさなど、見せ方を考え抜いているかという点にも着目するので、自分の作品を思い出しながら、伝えたいこととその重要度を考えて、順番と量を決めていきましょう。
point4:ストーリーに合わせて作品をはめ込み、リデザインする
付箋を並べ終わったら、それがあなたの分身のシルエットです。
そこから少しずつ表情を出していきましょう。
整理された付箋の項目に合わせて、自分のどの作品を当てはめていくか決めていきます。
付箋の横に、もう1枚付箋を貼って書いていくのが便利です。
たとえば、「最も注力したのは油絵」なのだとしたら、自信作を綺麗に撮影して、縁なしで目いっぱい載せたり、「3Dアートが得意」なら、その中から会心の1枚選んだり、「書いた量は誰にも負けない」としたら、これまで書いてきた絵画を小さめにして複数枚まとめるなど、項目ごとに伝える内容と合った作品を探しましょう。
まだこれから作ろうとしているものを含め、それらを何度もリデザインしていき、しっかりとした軸のあるストーリーにしていきましょう。
point5:全体を見返して意図が伝わるかを確認したら、ポートフォリオ作成開始
伝えたい項目と、そこで使用する作品が決まったところで、全体を見返してみましょう。
自分の考えたイメージと、並んでいる付箋のストーリーが合っていれば、ここからは採用担当者がどんなところをチェックしているかも考慮しながら、実際にポートフォリオを作っていきましょう。
■ 基礎画力があるか
どんなにツールを使う技術があっても、基礎画力がないことにはクオリティの高いビジュアルを制作できないため、採用担当者はまず基礎画力を確認します。
それを伝えやすいのは、やはりデッサンやクロッキーです。
顔の表情や筋肉、身体構造などを正しく描けている作品を、数枚入れましょう。構図や組み合わせにこだわったり、デッサン対象にちょっと変わったものをセレクトしても良いです。
コロプラの業務では2Dソフトや3DCGソフトを使用しますが、ツールは時代によって変わっていくものです。たとえ使用するツールが変わったとしても、しっかりアウトプットできる基礎画力があれば対応できるものなので、コロプラでは「ツールは未経験」という方にもご入社いただいています。
■ 感情を揺さぶる絵が描けるかどうか
多くのユーザーさまに楽しんでいただくゲームを作るためには、個々のクリエイターに、感情を揺さぶる絵を描く力が求められます。
具体的に言えば、「かわいい」「かっこいい」「このキャラが好き」「この背景を見ると、その世界に入り込んだような気分になる」と言っていただけるようなビジュアルになります。
キャラの場合は、「キャラクター愛」と言い換えることもできると思います。
そのキャラが生まれた時から現在に至るまでの歴史、言葉遣いや表情、動きなど、設定を考え抜くことでキャラクターに命が宿り、人の感情を揺さぶるのです。
採用担当者や面接官の間では「感情を揺さぶられたり、作品への愛が伝わってくると、直接会って話を聞きたいと思う」「本人の嗜好性、どんなデザインを作るのが好きなのか、積極的に教えてほしい」とよく話が出ています。
長期にわたってゲームを開発・運営していくコロプラでは、それぞれのビジュアルに愛情を込めながら制作できる方を求めています。そのため、自分はこういったものを描くのが好きなんだ、というのが伝わるような作品も入れてください。
■ 自分の売りになる部分が伝わるような工夫をしているか
自分の作品の魅力が伝わるように構成されているか、自分の技術を客観視できているか、というポイントも重要です。
たとえば、立体作品を載せる場合はシリーズで載せたり、絵画や3D作品の場合は完成系だけでなく制作過程も載せたりするなど、掲載の仕方にも工夫しましょう。
画材や使用ツール、制作時間など、「見ている人が知りたい情報」 も、わかりやすく、シンプルに載っていると好感が持てます。
作品そのものも重要ですが、素晴らしい作品があっても、その裏づけがあるかないかで大きく印象が変わります。「この人は感覚で描けてしまう人なのだろうか」と思われるより、「基礎を頑張ったからこそ生まれた作品」だと感じてもらった方がプラスなはずです。
■ クリエイターとしてのこだわりが感じられるか
作品だけでなく、最終的な見え方まで意識を向けましょう。
そういったところまで大事にしているのが伝わってくると「入社後、ユーザーさまのことを考えて制作してくれるだろうな」と感じます。
一つのものを生み出すためには多くの積み重ねが必要だと企業は知っています。
もし、今用意できる作品の中に、評価項目に該当するようなものがなかったとしても、ポートフォリオを完成させるまでの間に、新しく作り出すチャレンジを盛り込んでみましょう。
point6:人に見せて意見を聞く
ひとつのポートフォリオが出来上がったとしても、それだけで満足してはいけません。
自分をアピールするためのものということは、必ず誰かに見せることになります。
自分で思っていたことと、人の考えが違うことに気付くきっかけとして、全貌が見えてきたら、一度誰かに見せてフィードバックをもらいましょう。
同じ勉強をしている人に見せるのも良いのですが、アートやデザインの勉強をしていない友達に見せると、意外な答えが返ってくるかもしれません。
たとえば、自分ではたくさん見てもらいたいと思ってページを増やしたのに、それがくどいと感じられたり、作品が小さくて細いところが見にくいと思われたり。
自分自身は明るくて活発なのに、作品がダークなイメージや人間の奥底を表現するもので、人柄と作品をつなげられずにうまく伝えられなかったりなど。
相手の感情を動かす要因は様々です。見てもらった相手の言うことが必ずしも正解ではありませんが、一つの事実としてしっかりと受け止め、改善策を考えるチャンスにできるかどうかはとても重要です。もらった意見をもとに、可能な限りブラッシュアップしていきましょう。
ただし、最終的に自分を一番伝えられるのは自分自身です。分身を作ることも大切ですが、自分磨きも忘れないようにしましょう。
最後に、ポートフォリオに絶対的な正解はありませんが、上記でご紹介したポイントは、様々な現場で評価されるはずです。ぜひ参考にして、より良いポートフォリオを作成してください。みなさんの作品を見せていただけるのを楽しみにしています。