『白猫』デザインチームをまとめるエフェクトデザイナー
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デザイナー
M.M
千葉県生まれ。高校の服飾科を卒業後、専門学校でCGを学ぶ。映像制作会社に入社し、テレビ番組、CM、映画のCG制作に携わる。2014年コロプラに中途入社し、『白猫プロジェクト(以下、白猫)』と『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ(以下、黒猫)』のエフェクトデザインを担当。2016年3月、『白猫』チームのマネージャーに就任。
エフェクトデザイナーのマルさんは、コロプラのヒットタイトル『白猫プロジェクト』デザインチームのマネージャーに抜擢された際、「やらずに後悔するより、やって後悔したほうがいい」と即決しました。話を聞いてみると決断力があるのは昔からで、進路選択や転職のときも常にこの判断基準で未知の世界に飛び込んできたようです。そんなマルさんに、エフェクトデザインの楽しさや仕事で大事にしていることなどを聞いてきました。
みんなで協力しながら作るからゲーム作りは面白い!
コロプラに入社してから、どんな仕事を担当してきましたか?
まず入社2日目に「エントランスにある27Kディスプレイに流すムービーを制作してほしい」と言われまして、私はカメラワークと演出を担当しました。社内のいろいろな人に相談しながら作りましたので、入社当初からみんなで作っている実感があって楽しかったですね。それからエフェクトデザイナーとして『白猫』のチームに入り、その後、『黒猫』の協力バトルの演出を担当しました。
実際に手を動かしてゲームを作るエフェクトデザイナーから『白猫』のデザインチームをまとめるマネージャーになって、どんな点が変わりましたか。
今でもたまに自分でエフェクトを作ったりしていますが、やはりミーティングが多くなったぶん、ほかのメンバーにお願いすることが増えましたね。あとエフェクトに関しては、自分が知っている技術を教えるようになりました。
マネジメントをする際、気をつけているポイントなどはありますか?
エンジニア、デザイナー、プランナーという職種に限らず、みんなが意見を出し合えるフラットなチームにしていきたいので、まず自分から話しかけるようにしています。みんなで力を合わせて取り組むと大変なことも乗り越えられるし、何より仕事が楽しくなるんですよね。メンバーのみんなにもできるだけ楽しく仕事をしてほしいので、コミュニケーションは大事にしています。
やったことがないことを求めて
もともとデザイナーになろうと思ったきっかけはどんなものだったんですか。
子どもの頃からゲームと映画が好きだったんです。『ファイナルファンタジーX』のCG映像や映画『ジュラシック・パーク』で恐竜がCGで再現されているのを見て、「CGってスゴイ!」と思ったのが最初でした。私が小学校高学年の頃にコンシューマーゲームにCGが盛んに取り入れられるようになって、奥行きのある3D空間で遊ぶのが楽しかったんですよね。テレビ番組でもCGのタイトルやロゴがたくさん使われるようになってきて、「これもCG、あれもCG」なんて思っていました(笑)。
ではマルさんにとってCGを学ぶことは、とても自然なことだったんですね。
そうでもなくて、進路についてはすごく迷いました。高校が服飾系大学の付属高校だったので、そのまま大学に進学するか、有名なファッション系専門学校に行くかで迷っていたんです。でも進路を決めなければいけない締め切りの前日に突然、CGの専門学校に行くことにしたんですよ。服飾は洋裁も和裁も刺繍も高校までにやっていたので、未知のことをやろうと思ったんです。
卒業後は映像制作会社に入ったそうですね。
専門学校でCGを勉強するうちに、実写かCGかわからないようなリアルな映像を作りたいと思うようになったんです。最初はCM用のCGを担当して、実写ではありえないような動きをCGで制作していました。そして日本人なら誰もが知っているようなテレビ番組や映画のCGを担当させていただけるようになって、子どもの頃にやりたかったことがひと通りできたという達成感がありました。
順調だったようですが、そこからなぜゲーム業界に行こうと思ったのでしょうか。
映像系のCGではCMもテレビ番組も映画もやって、「他にやったことがないことって何だろう?」と考えたときに「まだゲームはやってない」と思ったんです。もともと子どもの頃に「ゲームを作りたい」と思っていたこともありましたし、違う分野に挑みたくなったんですよね。そのとき28歳で、「新しいことにチャレンジするなら今だ!」って思いました。
やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい
「やったことがないことをやりたい」というのがマルさんのモットーみたいですね。しかも決断が早い!
そうなんです(笑)。いつも急に思い立つんですよね。そして、さっと決めてしまうんです。去年生まれて初めて一人暮らしをはじめたんですけど、それも木曜日に思い立って日曜日には契約していました(笑)。
なぜそんなに急に(笑)。
実家が千葉で、それまで1時間くらいかけて通勤していたんですが、もっと会社に近いところに住みたいと思って。あと、環境を変えてみたかったんです。
マルさんの決断する際のポイントは?
勘ですね(笑)。『白猫』チームのマネージャーにならないかと打診されたときも「やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい」という考えで受けました。まあ「勘」といっても、これまで自分の中に蓄積されてきた経験や情報から考えてみた上で、最終的に直感で決めるという感じですが。
子どもの頃からさっぱりしたタイプだったんですか?
小さい頃から男の子と遊ぶほうが好きでしたね。当時流行っていたミニ四駆やハイパーヨーヨーで遊んでいて、お人形さん遊びなどは一切しませんでした。男の子に混じってサッカーやキャッチボールをしたり、鬼ごっこで走り回ったりするほうが好きで、子どもの頃から「かわいい」よりも「かっこいい」ものが好きでしたね。
中高生時代はどんな感じでした?
中高とバレーボール部に入っていて、県大会にも出場しました。だけど内心では「部活をサボってゲームがしたい」って思っていましたね(笑)。当時はまだゲームをやっている女の子は珍しくて、しかも女子高でしたから、友達には「ゲーマーだよね」って言われていました(笑)。
エフェクトは作り手の個性が出る
直感を大事にするマルさんがコロプラに入社を決めたのは、どんな理由からでしたか?
ゲーム業界への転職を考えていたとき、スマホゲームをいろいろ見ていたのですが、その頃はまだゲームにあまりCGが使われてなくてそれほど興味が持てずにいたんです。でも『白猫プロジェクト』が出てきて、「スマホでも3Dがガンガンに動くんだ」と驚きましたね。それがコロプラに入社しようと思った理由の一つだと思います。あとは前職が監督さんやディレクターさんのイメージどおりに作ることが多かったのに対して、コロプラなら自分の裁量で作ることができるんじゃないかと考えたんですよね。
フォトリアルなCG制作からゲームのエフェクトデザイナーになって、いかがでしたか?
学生時代からずっと「リアルなものを作りたい」と思ってきたわけですけど、今は別の楽しみがあると思っています。キャラに合ったかわいいエフェクトを作ったり、光が降り注ぐようなエフェクトを作ったり、リアルさとはまた別の面白味があります。私は映像畑の出身なので、ついついエフェクトを派手に盛っちゃうところがあるんですが、ゲームはメモリーの負荷を考えなければいけないので、そこが難しいところですね。最近はシンプルで派手に見えるエフェクトを目標に、いろんな工夫をしています。
エフェクトデザインではどんなところに作り手の個性が出るものなんでしょうか?
各デザイナーによって得意分野が違って「この人は発光感のあるエフェクトを作るとズバ抜けている」とか「シンプルだけどかっこいいエフェクトが作れる人」とか「魔法陣のデザインが上手い人」とか、見ると「この人が作ったもの」というものがだいたいわかります。色味ひとつとっても作り手の個性が出るので、見ていてけっこう面白いんですよね。
そういうものなんですね。では最後に、今後の展望を教えてください。
今は自分で作るというより、ほかのメンバーが作ったものをチェックする立場になったので、メンバーそれぞれの得意分野を伸ばしていければと思っています。みんなで作ると楽しいし、いいものができますから、チームメンバーと一緒に頑張っていきたいと思っています。